病床管理担当師長の攻撃に悩む看護師長(Fチーム①)

1.事例紹介

 小児科病棟の看護師長である私と緊急入院を調整する病床管理担当師長の話である。病床管理担当師長はたとえ満床でも当該科に緊急入院の依頼があると「なぜ(患者を)入れないのか、なぜ退院できないのか」と私を含む病棟師長を攻撃する。それは、午前に退院したベッドは午後の入院患者が使い、病床稼働率を上げる病院の方針に従っているゆえの行動である。師長会議でも「緊急入院の依頼を断らないでほしい。」「稼働率を上げるためにもそれぞれの病棟が患者の退院調整をしっかりして病床を確保してほしい。」といつも言っている。会議に参加している師長たちは病床管理担当師長の反復攻撃に困窮している。

 空床がなく緊急入院の依頼を私が断ると、「退院できないのはスタッフに責任があるのではないか。」「当該科ではない急性期患者を看る自信がないのではないか。」という。小児科は入院状況に季節変動があり、空床が多くなると病床管理担当師長は、「どうしてこんなに患者が少ないのですか。」「スタッフが評判を落とすようなことをしているのではないですか。」「このまま空いていても高いボーナスは出るよね。」とスタッフステーションに来てスタッフに聞こえるように矢継ぎ早に言って立ち去る。

 「よく根拠のないことをペラペラと、スタッフの前で言うなんて何を考えているんだ。」「治療が必要だから入院しているのに、ベッドコントロールしか頭にないからこっちの事情を聞く気がない。」「患者を物みたいに扱わないでほしい。」と私は怒りや苛立ちが溢れた。

 周囲にスタッフがいる状況で一方的に根拠のないことをいう病床管理担当師長の言動に私は戸惑い、その発言や行動を理解できなかった。病床管理担当師長は帰属意識が高いので自分の役割はしっかり認識し、忠実に守っているという点は感心するが、「自分がこれほど努力しているのに、他科のスタッフや師長は努力していない」と思っている。この圧力にどう対処したらよいか悩んでいる。

 

2.考える知性と感じる知性

 「自分の役割はしっかり果たしているのに、他のスタッフや師長はなぜ協力的ではないのか」といった不満、腹立たしさが病床管理担当師長にある。その感情が攻撃的な発言を生んでいる。

 このような感じる知性が優位な場合は、「どうしてこんなに患者が少ないのですか。」という質問の答えを考えるのではなく、その質問に対して「今日はイライラしていますね。」と気持ちに焦点化した回答をする。怒りや不満、イライラ感で感じる知性が燃えたぎり、まるで山火事が周辺の民家を焼きはらう勢いであると気づけば、話し合う土俵がつくれるのではないか。

 相手の言っていることを復唱して、相手に自分の感情に気付かせるのも効果的かもしれない。例えば「どうして患者が少ないの。」とイライラして言われたら、「そうですよね、患者さんが少ないことを腹立たしく感じているのですね。」というように伝える。

 いつも同じように感情をぶつけてくる人には、相手が自分自身の感情に気づくような会話をして冷静さをもてるように関わるとよい。つまり相手が、感じる知性が優位になっている場合は感じる知性で対処するということである。

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