聖路加の看護管理塾にようこそ!
第1章はいかがでしたか。まずは一人で「出会い方」を考えて、少人数で打ち合わせをして、そしてチームの中で「出会う」という段どりで「出会いをマネジメントする」ことを体験してもらいました。そこまで準備をしておくと、ワールドカフェで多くの人に出会うことの垣根が下がっていたのではないでしょうか。そして最後の全体共有の時間にも手を挙げてくれた人がいたように、あの教室が、緊張して座らされている場から、人と人が対話できる場に変化したという経験につながったのではないでしょうか。看護管理塾は、人と人が対話するなかから学び合うことを推進し、受講者である皆様が自分の職場においても、そうした場づくりに生かしてほしいと願っています。
さて、第1章では患者にとっての出会いは話題になりませんでしたので、私の経験を書いておきます。手術目的である病院に入院するときに、独りで病棟を訪ね、とりあえず受付らしいところに座っている職員に声をかけ、名前と本日入院予定であることを伝えました。その返事は「あ、山田さんね。お風呂はいります?」とのこと。そして術前にはシャワー浴が決まり事であるようで、早く入浴の順番を書く紙に自分で名前を書くよう指示してきます。記入用の鉛筆は、ボードに麻ひもで括りつけてあり、短く、傷だらけでした。あまりの出会いの悪さにこちらも「あら、天下の○○大学病院もチビた鉛筆なんですね」と嫌味を言ったところ、その返事は「そんなもんですよ」と一言。あきれ果て不安が増強しましたが、それを管理者に報告できませんでしたというのが経験です。厄介な患者になりたくないと思ったからです。
病棟クラークの人材育成に責任を持つのは誰ですか?その場を仕切っている病棟師長ですか。所属元の事務部長ですか。そうした縦の仕切りは関係なく、患者にケアは投げかけられていきます。病棟クラークは、自分がケア提供者である自覚はないかもしれませんが、患者にとっては病院職員全員がケア提供者であるわけです。
病院のあらゆる場面で、患者は職員と出会います。その出会いが良ければ、終わりも良いわけですから、一つの出会いが良い出会いになるようにマネジメントしたいものです。自分が出会うことだけでなく、患者が看護職や他の医療関係職員に出会うことや、スタッフがあなたに出会うことを想像してみてください。それぞれ、どのように経験しているのかをよく観察し、自分の立ち位置やあり方を見回して、“チーム病院“として患者をケアしてほしいと思います。
第1章での気づきをメモにしたものをお持ちですね。それは、あの学び合いの場を共有した者だからこそ理解できる、あなたにとって貴重な気づきであるはずです。「看護ものがたり」に投稿してみて下さい。今度はWebがよい学び合いの場になりますように。

yamada

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