第三章「マネジメントに取り組む」当日の様子

はじめに、古閑さんより、野中郁次郎著「知識創造企業」より、「ミドル・アップダウン・マネジメント」の紹介がありました。組織での中間管理者の位置づけ、役割、マネジメントの機能について、説明がありました。この理論は、企業の管理者を対象としていますが、非営利企業である病院、訪問看護ステーションの中間看護管理者にも、適応可能であると考えます。

続いて、倉岡より、中原淳著「駆け出しマネジャーの成長論」について、詳しく説明しました。本の帯には「鍵はプレイヤーから生まれ変わること!」とあり、この言葉はマネジャーとしての仕事を考えるうえで大前提となります。「駆け出しマネジャーの成長論」によると、マネジャーの仕事とは「他者を通じて物事を成し遂げる」であり、「エキスパートとしての自分のあり方を一部捨て、自分以外の人に仕事を任せることが求められる」とあります。このことは、マネジャーになることの最初にして最大の課題といわれています。

参加者の皆さんに、「人に仕事を任せることが得意な方はいますか?」と質問したところ、挙手された方はいませんでした。「反対に、任せることが苦手な方はいますか?」と質問したところ、半数くらいの方が挙手していました。自分がやるほうが速いしうまくいく、と思っておられるかもしれません。しかし、本当のマネジャーになるには、ここを乗り越えることがとても重要です。

続いて、倉岡が、経験の浅いマネジャーが直面する7つの課題を説明し、「目標咀嚼」のところでは、鵜飼の写真を用いて、何をイメージするか語り合いました。鵜匠を看護師長、鵜をスタッフナースとなぞらえる方、鵜匠を看護部長、鵜を看護師長になぞらえる方がいました。倉岡は、看護部長の指示や考え方を、看護師長がそのままスタッフナースに伝えるのではまずい(目標咀嚼できていない)と考えた時に、ふと鵜飼のイメージが浮かんだ、ということを説明しました。

説明後、配布したワークシートを使って、参加者の皆さんに、それぞれの課題の重要度を5段階で記入していただきました。甲乙つけがたく、多くの項目に「5」を付けている方がたくさんいらっしゃいました。その後、隣に座るメンバーと評価結果の確認をし、受講者全員の投票によって、チームで検討する課題を3つ選びました。

選ばれたのは、
1位「部下育成」(14票)
2位「目標咀嚼」(10票)
3位「意思決定」
でした。
当初、3位は、「意思決定」、「多様な人材活用」、「マインド維持」が6票と同点であったため、決選投票により、「意思決定」が選ばれました。

チームでのワークに移りました。

①3つの課題について効果的に乗り越える方法を具体的経験にもとづき語り合う、
②経験から生み出したコツをポスターにまとめる、
ことに取り組みました。

効果的に乗り越えた経験を持つ方ばかりではなく、まとめることに苦労したチームもあったと思います。ワークの時間は1時間と短かったですが、1つの課題の分析に20分の配分のように、効率的に進められていました。まとめていく過程で、7つの課題が全てつながっていることに気付いたチームも多くありました。特に、「部下育成」と「目標咀嚼」は強く関連していると気付きました。他にも、「部下育成」と「多様な人材活用」や「目標咀嚼」と「政治交渉」などの関連性が見えてきました。

発表方法は、第2章に続きクロスグループインタビュー形式をとりました。他のチームの発表を聞くことで、効果的に乗り越えるための方法をさまざま知ることができました。

 

第3章での学びを言葉にしてみてください。

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