第五章「人の強みをみつける」当日の様子

秋が深まって紅葉が色づく頃となった10月24日、第5回看護管理塾が開催されました。今回のテーマは、「人の強みを見つける」でした。導入にあたり、井部塾長より、「吠える犬」のお話がありました。それは、人がやってくるとやたら吠える犬に対して飼い主が困っていました。そこで、犬の躾を訓練する専門家におとなしくなるように頼みました。最初に訓練士の方がやったことは、犬の目線でなぜ吠えるのかを知ることでした。飼い主にしてみたら、人が訪ねて来たときに吠えるので、「うるさい」と犬に注意をする行為が、犬にとっては自分をかまってくれることで喜びだったということがわかりました。つまり、自分の目線ではわからないことが、別の目線で見ると、全く違う捉え方をしていたということがわかったりするという例です。同様に、今回のテーマの強みについても、ある立場から見れば嫌なことや苦手と思うことでも、別の立場から見ればよいことと思える場合があります。

伊藤より、強みに集中することの重要性を説明しました。ギャラップの調査では、強みを活かして仕事をしている人が多い組織ほど、①定着率が高い、②生産性が高い、③顧客満足度が高い、というデータがあります。また別の調査でも、リーダーシップを強化する上で足りないものを補うよりも、強みに集中して磨いた方が優秀なリーダーになるというデータが示されています。とりわけ、スポーツの世界などではわかりやすいほど、強みで成果を上げている人がたくさんいます。最近では、テニスの錦織圭さん、ワールドカップで歴史的勝利を上げた日本代表ラグビーが好例でしょう。ラグビーの日本代表は、どうすれば体が小さい日本人が世界で互角に戦って勝利することができるかを徹底的に研究し、低い姿勢でのスクラムを強化しました。総合格闘家を呼んで粘り強い姿勢を徹底的に強化した結果、歴史的な勝利につながったようです。ビジネスでも成功している人たちは、同様に強みを生かしています。

ただし、その強みはほとんど自分では自覚していないことがあります。なぜなら、強みは、大抵、意識しなくてもうまくできてしまっているために、本人にとっては自覚がないからです。そのため、第三者からの指摘が有効だったりします。といっても、第三者に指摘されても、本人は自覚がないので、あっさりと、「いいえ、そんなに大したことではないです」と否定してしまうこともあります。こうした強みにしっかりと意識を向けて、強みを伸ばし強化していくことは大変に重要なことです。とりわけ、マネジャーが自分の強みを自覚していないと、他者の強みにも目を向けることが少なくなり、ほめないマネジャーになります。マネジャーが部下をほめないでいると、部下はさらに自分の良い点に氣づかないままになります。一方で、マネジャー自身が自分の強みを十分に自覚し、自己肯定を十分に持っていると、他者に対しても積極的に良い点を見つけて褒めるようになります。そうなると、部下は自分の良いところを自覚し、さらに頑張ろうという意欲が向上します。

強みを自覚するためには、他者からの指摘や、診断の活用や、自己の棚卸しが有効であるということを紹介しました。その後、チームで各人の強みを発見する実習を行いました。ジャックゼンガー氏の「リーダーシップコンピテンシー」を活用して、強みを指摘しあいました。自己認知とグループメンバーからの指摘が共通している人もいれば、かなり違ったという人もいました。自分で認識していなかった強みが明らかになっていた人もかなりいらっしゃったように思いました。もしかしたら、職場でも同じように、自分では自覚していないけれど、他者からは素晴らしい強みとして評価されていることが意外と多くあるのかもしれません。苦手だと思っていることほど、そこに注意を払ったり、努力をしているために、第三者からみれば、強みに映っているということもよくあります。また、機会があれば、職場でも同僚の方達とこの実習をやって実際の職場でどのように見られているかを発見していただきたいと思います。

この実習の後、本日のワークでは、「苦手な相手に対する対処方法」を検討しました。苦手な相手を一人選び、なぜ苦手なのかを検討し、第三者の視点から、その人はなぜそのような言動をするのかを検討し、強みを生かして対処する方法を検討しました。今回、苦手な相手では、50歳台のスタッフを取り上げているチームが多くありました。なぜ苦手なのかを話し合っているうちに、自分の中にあるこだわりが浮き彫りになったり、自分自身の問題点が浮き彫りになっている人もいました。また、別の視点から起きている問題を検討すると、それほど問題視する人でもないのでは、という意見が出ていたり、その人はその人で理由があってその言動をしているということが見えてきていました。こうしたやりとりをとおして、自分だけでは発見しづらい相手の強み、または自分自身の弱みが明確になっていたようです。その結果、納得感のある今後の対処方法が出てきていたチームが多く、「明日から早速やってみます」という声もあがっていました。今回の学びを生かして、実際の仕事の場面でも苦手な人がどんどんと少なくなっていくと仕事がさらに楽しくなっていくと思われます。

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