第六章「イノベーションを起こす」当日の様子

12月が目の前に迫る月末でしたが、皆さん風邪など引かず、元気よく参加されたメンバーが多かった様に感じられました。

さて今回のテーマは“イノベーションを起こす”でした。
冒頭で塾長からの挨拶では、「病院は刑務所と同じレベルの不自由さ・・・」という話があり、なるほど。そうなのかな?と思うところもありました。
積極的に行きたくない場所「刑務所」≒「病院」であるわけで、病院は別に悪いことをして行く刑務所と違って、心と体がしんどい状態で行くのですから、出来ることなら快適な空間であって欲しいものだと考えました。(個人的には竜宮城のようなところであって欲しいですが・・・)

Opening

冒頭のレジメの表紙・・・スーツケースの歴史ですが、人類は5500年の間「車輪」というものを発明しておきながら、趣味の様に重い荷物を持ち続けたわけです。この比喩は、「私たちの身近にも、もっとたくさんのイノベーションのヒントがある」または「”荷物は手で持つものだ“と思い込んでいた」という思い掛けない気付きでしょうか?
つまり私たちはすでにイノベーションの場所や瞬間を日々迎えているのに、“アイディアへの気づきや思い込みを外すことが見えていないだけ”かもしれません。

イノベーションの定義

イノベーションをシュムペーターは「創造的破壊」と言い、ドラッカーは「顧客価値の創造」と言いました。
看護管理者自身がどのように組織で、そして病棟や職場で、イノベーションを起こすのか?
もちろんそれも大事ですが、今回は “Innovation as Usual ” つまり日々の仕事のなかにイノベーションは潜んでいる。その潜んでいるイノベーションを「部下が起こすことを支援する人」が看護管理者(Innovationの設計者としての看護管理者)であるという位置づけでワークショップを行いました。
そして、イノベーションの定義を「昨日とは違う行動によって、成果を生むこと」と定義しました。
しかし実際にイノベーション行動を起こすのにはその前提となる考え方の枠組み・箍(たが)・パラダイムが変わらないとイノベーションは起きないのですが・・・・

S字カーブ(イノベーションの場所を見つけるには、どうしたら良いのか?)

我々の仕事の成果・やり方・仕組みやシステム、そして考え方の前提の中で、時間と経過とともに成果が停滞している、機能していない、関係があまり変わらない・・・等々、いわゆるS字の頂点に来ている事柄、それは<イノベーションが起きる可能性がある場>なのかもしれません。
そして、そのS字の頂点に来ていそうな事柄の〝前提となる我々の枠組み・箍・思い込み・前提・仮説(パラダイム~paradigm)は何か″に疑問を持つことがイノベーションの第一歩でしょう。

今回の参考書籍の紹介です
「イノベーションは日々の仕事の中に」 Innovation as Usual

日常のイノベーションのための5つの行動 +1

①フォーカス(Focus)
②外の世界と繋がる(Connect)
③ひねる(Tweak)
④選ぶ(Select)
⑤ひそかに進める・ステルスストーミング(Stealthstorm)

イノベーションに関する書籍は非常に難解な書籍が多いのですが、この本は読み易く実践のヒントとなる事例もたくさん掲載されています。是非読んでみてください!
看護管理者は自らイノベーションを起こすことも重要ですが、「イノベーションの設計者」としての機能が期待されているわけです。そのためには上記の5つの行動が重要で+諦めないことを推奨しています。今回特に「フォーカス」と「外の世界と繋がる」をご紹介しましたが、それはイノベーションに成功している多くの企業がこの2つの行動を重視しているからです。
ただやみくもに「イノベーションを起こせ」と部下に言っても思考が発散するだけですし、「自部門だけのメンバーで考えろ」といっても、思考は狭い範囲でグルグル回るだけですから、特にこの2つの行動は重要だと思っています。

ケアのイノベーション(きのこエスポアール)

山田さんにケアのイノベーション事例として「きのこエスポアールにおける認知症ケアのイノベーション」の事例を紹介してもらいました。
佐々木院長がスウェーデンで体験したことを元に、今までの認知症ケアの前提にある考え方を見直し、イノベーションに繋げたわけです!!

パラダイム(前提となる仮説)
「認知症の症状は精神病理学的なものである。だから治療は薬物療法で快適にするものである(コントロールするものである)」・・・・・・・・・

スウェーデンショック
本当にそうなの?
↓転換

「どうしてあげれば、そういう行動と共に我々が一緒にうまくやっていけるか」
まず、前提となる考え方の枠組みを疑って変えていった、これがイノベーションの第一歩だった。
その結果、食事・排泄・入浴など様々なケア場面における行動変革(イノベーション)に繋がった。
結果、患者のQOL・スタッフのQWLの向上(共に顧客価値の創造ですね)に繋がった。

Workshop「職場にイノベーションを起こす」 ~「どうしよう」の前に「なんでだろう」を考える

きのこエスポアールの事例もそうですが、
イノベーションを起こそうと思ったら、いきなり「どうしよう?How(活動思考)」と考えるのではなく、まず「なんでだろう?」Why?(内省思考)」を行うことが、イノベーションの第一歩だと言えます。

今回は看護管理の現場でまず「どうしよう?」と思うことを個人で書き出し、チームで共有化しながら、一つのテーマに絞り、その前提となる考え方・枠組み・パラダイムをチーム全員で抽出してもらいました。
ここではチームで選択したテーマの抽象レベルが高いと、その前提となる考え方(なんでだろう?)もボヤッとしたものになり、なかなか記述するのを苦労していたチームもあったようです。
それは、前提や枠組み・パラダイムは魚にとっての水のようなもので、その中に身を置く我々はそれが枠組み(水)だとは気づかないのかもしれません。

今回のワークショップを終えて私が感じたことは・・・
我々の職場は様々な枠組み・箍(たが)・パラダイムの森のようなところだったこと。
その枠組みは、タマネギの皮を一つ一つ剥いていくのと同じで、思考の奥底にある前提が何か?を見つけるのは容易ではなかったこと。
だからこそイノベーションを起こそうと管理者が思うなら、その森を探す旅へ出ることがその第一歩かもしれません。

どうですか、一度その森を探す旅へ出て、職場で ”なんでだろう” を実践してみてください。
きっとイノベーションのヒントが見つかると思いますよ!!

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