第九章「やる氣にさせる職場」当日の様子

今回で9回目を迎える看護管理塾でした。グループのメンバー同士も打ち解けて、それぞれのグループのカラーもハッキリしてきているようです。今回は、そんなグループメンバーとのチーム活動も講座の中に入っていました。

開講に先がけていつものように井部塾長よりお話しをしていただきました。『大学教授がガンになってわかったこと』(幻冬舎新書)から紹介がありました。著者の山口氏は、大腸ガンから膵臓ガンに転移を経験し、病院でいじわる看護師と出逢います。入院生活は看護師さんが頼り。不運なことにいじわる看護師さんが担当となり、どうやって著者が対処を見出したかが綴られています。患者である著者といじわる看護師さんとのやりとりはユーモラスでしたが、実際に自分がその立場になったら、たまったものじゃないなぁと思いました。著者は、いじわる看護師に“スパルタちゃん”というあだ名をつけ、他の看護師には“観音様一号・二号・三号・四号”とあだ名をつけます。それを知って、いじわる看護師さんが変化していく様子が面白いのですが、ほんとうに問題となる行為をしていても、本人は氣づかないでいることが多いのかもしれないなと思います。

さて、今回の「やる氣にさせる職場」でも、この氣づきが実は大切でした。「不活性なチーム」に陥っているときに、その問題をどこまで正確に認識しているかと考えると、多くの場合は問題を曖昧なままにしていて、認識するところまでたどり着いていないことが多いように思います。そのため、適切な手が打てず、いつまでたっても「不活性」なまま過ごしているようです。

その根底には、モチベーションの問題が影響していることがほとんどです。単にしくみやメンバー構成を変えたところで、モチベーションが変わらなければ、やる氣のある生産的でイキイキしたチームを作り出すことは困難です。そして、今回の冒頭に紹介させていただいたように、モチベーションがあれば、ボランティアスタッフですら、正規雇用職員よりも高いパフォーマンスを生み出すことがあるほどです。

業績好調な組織や、外部から見て働き甲斐のある組織では、こうしたモチベーションを生み出すリーダーシップが発揮されています。具体的には、次の5つが共通していることを紹介しました。

① ビジョンによって人を惹きつけ、ビジョンに向けて実現していく
② 働く人々の心に氣を配って、統制ではなく、支援・エンパワーする
③ 自分自身がやっていることに熱中する
④ 人々が動機づけられることで成果がもたらされることを信じている
⑤ 人々にオープンに意見を求め、根底に信頼がある

これは、アメリカと日本の調査結果にも示されていましたが、どんなに時代が変わっても、モチベーションをもたらす要素になると思われます。

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訪問看護シンジョーステーション 代表 (武蔵新城:川崎市中原区) 地域に情報がいきわたる環境づくり(医療や介護に関する情報を生活に活かす)に取り組んでいます。
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