9月30日(土)2か月ぶりの看護管理塾をおこないました。
第4章「効果的な会議」の学習目的は「看護管理者として効果的な会議を創り出すための方法を学ぶ」
学習目標は次の4つです。
①日頃、運営または参加している会議お現状を理解する。
②効果的な会議とはどのようなものか理解する。
③会議を効果的なものにするための具体的方法を考える。
④ ③の実行に向けた決意をする。
構成はミニレクチャーのほか「私の出席した会議」についてのワーク、「会議ガイドライン」作成ワーク、そして発表と討論でした。
14時 塾長からの挨拶
山田塾長から、7月にご逝去された日野原重明先生の経管栄養導入に関して、関係者のそれぞれの思いと終末期での意思決定の難しさについて話しがありました。
14時10分~14時15分 ミニレクチャー
終末期治療の決定には、皆の思いが共有され、考えをまとめて合意形成する、家族内や医療チームでの会議が必要です。今回のテーマは看護職の会議だけではなく普遍的なテーマであることを確認して学習を開始しました。
20歳代30歳代のエンジニアを対象として行われた会議に関する調査を紹介しました。一人が6.2回/月の会議に出席し、1回の会議時間は平均79.3分でした。これは1月のうち1日は会議をしていることを意味します。そして多くの人が無駄だと感じ、何らかのサボタージュを試みていることが分かりました。
14時15分~14時40分 グループでのワーク「私の参加した会議」
看護の世界の会議はどうでしょうか。参加者それぞれの体験をもとに実態をとらえることにしました。各自で、ワークシートに過去1か月で自分の参加した会議をリストアップし、最も上手くいったものとうまくいかなかったもの、出席したいものとしたくないものに、それぞれ印をつけました。そして、グループで印をつけた会議について、どういう会議だったのか、なぜうまくい行ったのか、あるいはうまくいかなかったのかを話し合いました。またグループでひと月の平均会議数と1回の会議時間を算出しました。結果については、写真をご覧ください。
「いつも声の大きな人の意見で決まっていってしまう。」「会議中にナースコールがなって、次々と人がいなくなってしまう。」「前もって話し合う事柄を伝えて『考えてきて』といっておいたら、皆の意見が聞けてスムーズに決めることができた。」など参加者それぞれが体験した会議の様子が話されて行きました。
グループでの話しを全体で共有しました。うまくいった会議の特徴として、出席者から発言がある、会議の目的が明確、スムーズに進行し時間内に終わるなどが上がり、具体的な状況について話されました。
14時40分~15時15分 ミニレクチャー
講師から、効果的な会議の条件、効果的な会議の3つの視点(デザイン・準備、運営、Output)が説明されました。そして会議を行う目的の分類(大きく5つ)、目的ごとに設計、運営、Outputが異なってくること、具体的なデザイン・準備の方法、運営の方法についての説明がありました。Outputでは、論理的受容(=理解)とともに、心理的受容(=納得)が重要で、後者は会議での合意事項の行動化に結びつく鍵であることを学びました。
15時15分~16時25分 グループでのワーク「会議ガイドラインの作成」
効果的な会議を行うための運営者あるいは出席者の行動を導くための会議ガイドラインの作成に、グループで取組みました。運営者の立場で作成するのは7つのグループ、出席者の立場で作成するのは2つのグループでした。ガイドラインの最後には、会議では言ってはいけない「禁句」を一つ上げることにしました。作成された各グループのガイドラインはサイトに掲載されています。
16時25分~17時00分 全体発表と意見交換
運営者の立場で会議ガイドラインを作成した、2つのグループ、参加者の立場で作成した1つのグループが前に出て発表し、それをもとに全体で意見交換しました。
会議の準備段階ではあるアジェンダについて決定することを目標としても、反対意見がでたり、議論沸騰して時間切れとなることがあるがどうしたらいいだろうかという疑問が出されました。井部講師から、会議を進行しながら、このアジェンダは決定よりも、意見を出し合うことが大切と判断したら、会議目標を変更し、決定は次回に持ち越すことを出席者に伝えるという助言がありました。会議は生き物ですから、司会者は、ダイナミックスを見極めながらその場で目標変更の判断をしていくことが求められます。
また、事前に関係者にアジェンダについての考えを聴いて意見を調整しておく「根回し」についてもその意味について学びました。「根回し」はネガティブにとられがちですが、すべてが会議という公式の場で決められるわけではなく、根回しは公式活動に結びつける活動としての意味があるということです。グループワーク、全体討論をとおして、会議の運営で困っていることやそれぞれが工夫している経験知を共有することができました。
最後に、吉田から、会議ガイドラインの例として、会議改革を行った日産の会議のグランドルールを紹介しました。わかりやすい簡潔な文で7-8項目にまとめた会議ガイドラインを会議室に貼り、皆で共有して会議をおこなうことは効果的な会議に有効です。そして会議に係るメンバー自身が会議ガイドラインを作成することが、とても意味あることです。
管理塾終了後、参加者の皆様はどのように行動されているでしょうか。投稿を楽しみにしています。
yoshida
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