第5章>担当:伊藤弘子

秋が深まる中、10月20日、第5回看護管理塾を開催いたしました。今回のテーマは、「人の強みを見つける」でした。導入にあたり、山田塾長より、『グループ』と『チーム』の違いについてのお話がありました。その中で、グループとチームの一番の違いは≪目的≫があるかどうかというお話がありました。今回のワークではチームということを意識して≪目的意識≫を大事に運営してもらいたいというメッセージがありました。

その後、今回の「人の強みを見つける」ための情報提供を行いました。
自分の強みを理解していますか? という冒頭の質問では、すぐに自分の強みを書き出せた人と、なかなか書き出せない人がいらっしゃいました。マネジメントする人自身が強みを認識していることは大切なことです。なぜなら、人は自分をとおして他者を見ます。つまり、マネジャーが自分の強みを認識していれば、部下の強みにもすぐに目が向きやすいものです。ところが、あまり自分の強みを認識していなければ、これくらいできて当然と思ってしまいがちです。結果、部下の強みも認めてやれないことになってしまいます。当日の中でお伝えしたように、じっくりと時間をとって、自分自身の強みを100個くらい書き出してみてください。自分の強みを認識することで、他者とのかかわりが変わってくると思われます。

成功している人や活躍している人は、強みを自覚しています。その強みに磨きをかけて、より洗練されたものへと昇華しています。
この“強み”は、その人にとって当たり前にやれていることであったりします。そのため、“強み”という自覚を持っていないこともあります。それがスキル化です。スキル化とは『無意識有能』の状態です。この当たり前にできてしまっている強みを認識するために、幾つかの方法を紹介しました。紹介したように、第三者に聞いてみると案外自分では無自覚だった強みが明らかになります。これは職場内でもやっていただきたいと思います。部下の人たちも、自分の強みを自覚していない方が多くいらっしゃると思います。お互いの強みを職場内で指摘しあう機会を定期的に設けただけで、モチベーションが変化して、職場が活性化したという事例もよくあります。

当日は、これまで4回のワークを通じて、共に学習を深めあったチームメンバー間でお互いの強みを指摘しあっていただきました。そのツールとして、ジャックゼンガー氏の「リーダーシップコンピテンシー」を活用しました。最初に自己認知を点検していただきました。その後、チームメンバーから代表的な強みを3~5つ挙げてもらいました。自分が点検したもの(自己認知)とチームのメンバーから指摘されたもの(他者認知)が共通している人もいれば、幾つかは違ったという人、あるいは大きく違っていたという人がいらっしゃいました。ご自分では、ある強みを認識されているのに、そこにほとんど他のメンバーからは入らずに、ご自分で認識されていないところに何人もから指摘されているという人もいらっしゃいました。こうしたギャップがどこから来ているのかをさらに掘り下げておいていただきたいと思いました。そうした強みに対して否定的な認識をしている人もいらしたのではないかと思われました。なぜ否定的な認識が出るのか、そこも掘り下げておかれるといいと思います。中には、強みと認識していなくても、役割で行動されているという場合もあります。職場でも同じように、自分では自覚していないものの、他者からは強みとして評価されていることがあると思われます。たとえば、苦手だと思っていたことが、時間をかけて克服していくうちに強みになっていたという例もあります。自分を客観的に見ることは難しい場合もありますので、この機会に、現在の自分の強みをしっかりと認識しておいていただきたいと思いました。

自己認知と他者認知のギャップについては、ジョハリの窓のモデルでも示させていただきました。ギャップが少なく、Aの領域が大きくなるほど、マネジャーと部下との関係が良好になっていきます。

その後は、『他者の強みを生かす』ことに対して情報提供しました。部下の弱みにばかり目を向けると、日常のマネジメントは厳しくなります。ここが足りない、あそこが足りないとなってしまいます。これでは、部下のモチベーションを下げてしまいます。もちろん、足りない点を指摘することは必要でしょうが、そればかりだと、意欲がなくなるでしょう。管理者としては、部下の無能な部分に目を向けるのではなく、相手の中に眠っている強みを引き出し、さらに磨きをかけて広げることが重要です。

また、強みの指向性が異なると、しばしば弱みに目がいくという話をさせていただきました。
たとえば競争的な人から協働的な人を見ると、「弱々しい」と映るように。あるいは、論理的な人が情緒的な人を見ると、筋がとおっていないと判断するように。これは、見ている立場が異なるだけです。どちらが正しいわけでも間違っているわけでもありません。管理者として、さまざまな人をマネジメントしていくためには、自分の価値観だけに頼るのでなく、いろんな視点から強みを見ていけることが大切です。

その後、本日のワークで、「仕事上インパクトが大きく、苦手とする相手に対する対処方法」を検討しました。苦手な相手を一人選び、なぜ苦手なのかを点検していただきました。チームメンバーからは、第三者の視点から、その人はなぜそのような言動をするのかを検討していただきました。その後、強みを生かして対処する方法を検討していただきました。今回は、対象とする相手はさまざまで、医師だったり、年上の部下だったり、年下の上司、などさまざまな対象者があがっていました。さらに、別の視点(チームのメンバーから、その人ってほんとうはこういうことじゃないの? その人はよく考えればこんな強みがあるのでは?)のアドバイスにより、見る視点が広がったのではないかと感じられました。うまくやれていない人との関係は、しばしば、自分が正しく相手が間違っていると考えてしまいがちです。ですが、10対0(自分対相手)ということはなく、8体2、あるいは5対5ということもあります。または、3対7というケースもあるのでは、と感じました。

今回は、行っていませんが、自分のサイドから見た相手の問題点を挙げていただきましたが、時間があれば、相手のサイドから見た自分の問題点を列挙してみると、いろいろな氣付きが出てくるのでは、と思いました。
今回のような切り口を変えて相手を見つめ直す、自分自身を認め直す、ことで、さらに大きく飛躍するチャンスにしていただければ幸いです。

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1件 のコメントが “第5章>担当:伊藤弘子”にあります

  1. ある面接があり、そこであなたの強みは何ですか?弱みは何ですか?と質問されました。そこで、前回の研修が大変役立ちました。私の強みは、これとあれとあれと・・・・と、チームメンバーからの承認もあったことは、自信を持って言えたことです。
    スタッフもそうだろうなとは思っていましたが、いざ実感するともっと強みを見て口に出して伝えてあげようと思いました。

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