第5章_担当:伊藤弘子

金木犀の甘く爽やかな香りが漂いはじめる中、10月26日、第5回看護管理塾を開催いたしました。導入にあたり、山田塾長より、日本を直撃した台風被害、大雨被害にふれて、こうした自然災害時に何を思うか、日ごろからの準備をどうするか、といったお話がありました。また、日本じゅうが幸せムードに包まれたラグビーワールドカップ日本大会における日本チームの大躍進と天皇陛下即位の礼についてのお話もありました。
その後、バトンタッチして第五章を担当させていただきました。今回のテーマは、「人の強みを見つける」です。
人の強みを見つける前に、まずは、自分自身の強みを自覚していますか? という問いかけをさせていただきました。自分が認識している自己と、他者から見られている自己はしばしば乖離があります。リーダーシップを効果的に発揮している人ほど、そうした乖離が少ないものです。
また、自分の意図と行動、インパクトが乖離していないかどうかという点についても、さらって投げかけさせていただきました。こちらも、しばしば、感情で感じていることと思っていることがズレている人がいます。その結果、意図と行動には乖離が生じ、当然、相手に与えるインパクトも弱くなるということが発生します。感じていること、思っていること、行動していることが一致させられる人ほど、オーセンティックで、やはり、そういう人の影響は大きいものがあります。
成功している人や活躍している人は、みなさん共通して、自分自身の強みを自覚しています。その強みに磨きをかけて、より洗練されたものへと昇華しています。
この“強み”は、その人にとって当たり前にやれているため、無自覚の場合もあります。つまり、スキル化してしまっている状態です。スキル化とは『無意識有能』の状態です。意識しなくても自然にできてしまっているので、強みと氣がついていない状態です。こういう点を指摘されると、自分では当たり前のことなので、今いちそれが褒められることとはピンと来ないことがあります。しかしながら、それは、他者から見ると強みであり、その強みを生かす場面を十分に認識していくことはリーダーにとって重要です。
この当たり前にできてしまっている強みを認識する方法を紹介しました。とりわけ第三者に聞いてみると自分ではまったく無自覚だった強みが明らかになることがあります。これは職場内でもやっていただきたいと思います。部下の人たちも、自分の強みを自覚していない方が多くいらっしゃると思います。お互いの強みを職場内で指摘しあう機会を定期的に設けただけで、モチベーションが変化して、職場が活性化したという事例もあります。
当日は、学習のチームメンバー間で、お互いの強みを指摘しあっていただきました。そのツールとして、ジャックゼンガー氏の「リーダーシップコンピテンシー」を活用しました。最初に自己認知を点検していただきました。その後、チームメンバーから代表的な強みを5つ挙げてもらいました。自分が点検したもの(自己認知)とチームのメンバーから指摘されたもの(他者認知)が共通している人もいれば、幾つかは違ったという人、あるいは大きく違っていたという人がいらっしゃいました。ご自分では、ある強みを認識されているのに、そこにほとんど他のメンバーからは入らずに、ご自分で認識されていないところに何人もから指摘されているという人もいらっしゃいました。こうしたギャップは、おそらく職場でも同じような傾向にあるかもしれません。自己認識と他者認識のギャップをできる限り少なくしていって、本当に強みを効果的に発揮できるようにしていっていただきたいと思います。
さらに、このような自己認知と他者認知のギャップがなぜ起きるのかについて、ジョハリの窓のモデルでご紹介しました。お互いのギャップが少なく、Aの領域が大きくなるほど、マネジャーと部下との関係、またチームの関係が良好になります。
お互いのAの領域を広げるためには、自分も率直に指摘をすること、そして、相手からの指摘に素直に耳を傾けることが重要です。率直な指摘の中には、ネガティブなことも含まれます。ポジティブ、ネガティブ、どちらも指摘できることで、Aの領域が広がります。
その後、『他者の強みを生かす』ことについての情報提供をしました。ドーナツの絵にあるように、足りない点に、自動的に目がいくようになっています。とはいえ、足りない点ばかり指摘されていたのでは、誰もやる氣になりません。部下の弱みにばかり目を向けると、日常のマネジメントは難しくなります。ここが足りない、あそこが足りない。これでは、部下のモチベーションを下げてしまいます。もちろん、足りない点を指摘することは必要でしょうが、そればかりだと、意欲がなくなるでしょう。管理者としては、部下の無能な部分に目を向けるのではなく、相手の中に眠っている強みを引き出し、さらに磨きをかけて広げることが重要です。
強みの指向性でみていくと、それぞれの強みの指向性が違うと、その相手に対しては弱みに目がいく傾向にあります。
たとえば競争的な人から協働的な人を見ると、「弱々しい」と見えてしまうものです。あるいは、論理的な人が情緒的な人を見ると、筋がとおっていないと判断してしまいます。これは、見ている視点が異なるだけです。どちらが正しいわけでも間違っているわけでもありません。管理者として、さまざまな人をマネジメントしていくためには、自分の価値観だけに頼るのでなく、いろんな視点から強みを見ていけることが大切です。
本日のワークでは、「仕事上インパクトが大きく、苦手とする相手に対する対処方法」を検討しました。現在、困っている苦手な相手を一人選び出し、その人の特徴、そして、なぜ苦手なのかを洗い出していただきました。その後、チームメンバーから、第三者の視点から、その人の隠された(氣づいていない)強みを検討していただきました。強みという角度からみると、「あれ、この人は意外といい人だったんだ。自分が苦手だと感じていただけだった」こんな反応をされているチームもあったようです。また、中には、これは、二人の問題だけではないので、しっかりと取り組んだ方がいいと、真剣にアドバイスしあっているチームもありました。第三者の視点で、どれだけ掘り下げてアドバイスしあえているかで、チームとしての学びが深くなっていました。
残念ながら少し表面的に終わってしまったチームも少ないですが、見られました。これは、情報提供者がどれだけ本当に困っているか、あるいは情報をオープンに出しているかにも影響していたのでは、と感じられました。
今後もこうした話し合いがあると思いますが、ぜひ、遠慮せずに、自分の問題をオープンに出していただきたいと思います。それが全体にとっての学びの重要な機会になります。
今回のような切り口を変えて相手を見つめ直す、自分自身を認め直す、ことで、さらに大きく飛躍するチャンスにしていただければ幸いです。

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