第7章 人に仕事を与える・任せる_当日の様子 井部俊子

第7章は、「人に仕事を与える・任せる」ことの意義を理解し、自身の仕事のやり方を変えるためのヒントを得ることをねらいとしています。当日は講義、チームでのワーク、チームの成果の発表という構成で進めました。

 恒例となっている冒頭の山田雅子塾長のあいさつでは、コロナ感染者数が著しく減少しているのになぜオンライン研修を継続するのかという受講生からの問いに、聖路加国際大学の学内ルールを説明し理解を求めました。

 オンラインによる講義は以下の構成でいたしました。まず、「人に仕事を与える・任せる」ことは、「自分がおこなうべき仕事に取り組むために、人にできることは任せる」のであり、「人は仕事を任されて育つのである」こと、次に、「任せられない」を「任せられる」ようにするには、「できるようになってから任せる」のではなく、「できなくてもムリをして任せる」ところにあること、さらに「人を育てる任せ方」の7つのポイントを説明しました。そこで、やっかいなお荷物を表す比喩としてのサルが登場します。サルとは本来部下のものである仕事の主導権を意味します。この「サル」を世話し餌をやるための5つの鉄則を紹介しました。そしてより大きな仕事、つまり「ゴリラ」のために時間を作る必要性を述べました。今回は、さらにこれまでこの7章を受講した修了生21人の投稿をまとめたブックレット(井部俊子,竹内良子編,看護管理塾第7章 サルの罠,日本看護協会出版会,2021年)をもとに受講生の体験談を紹介しました。

 チームでのワークのテーマを、「仕事を与える・任せることの現実と課題を提示して、今後の方向性を議論する」としました。各チームはブレークアウトルームに分かれて60分間の話し合いをしました。AチームからHチームの報告はもりだくさんで各チーム5分の発表をオーバーする程でした。各チームのワーク記録は看護管理塾の「看護ものがたり」ホームページにアップしていますのでご覧ください。

 最後に発表したHチームが全体の総括をしてくれました。こんなふうにです。「主任として働いている。サルを沢山抱えている師長とサルを手放す師長を見てきた。サルを抱えている師長は看護師以外の仕事も抱え込んでいた。いつも遅くまで残っていて大変そうに見えた。上司がサルを任せてくれないのは自分に能力がないと思っていた。」「サルを手放す師長は、師長がやるべき仕事と任せてよい仕事を区別している。部下が飼うサルに問題が起きた時は、師長の責任であることをはっきり言ってくれるので、安心してサルを育てることができた。」

 新型コロナウイルス感染症によるパンデミックは、新種の巨大なサルが突然出現して、病院として対処しなければならなかったという指摘がありました。この新種のサルをまず看護部が受けとめたこと、そしてその後かかえ込まずにうまく仕分けをすることが重要であり、看護部の手腕のみせどころであるという議論がありました。今年の目玉でした。

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