第7章「人に仕事を与える・任せる」当日の様子_井部俊子

第7章「人に仕事を与える・任せる」は、2022年12月3日に、対面で開催されました。新型コロナウイルス感染防止のため、換気に気をつけ、皆がマスク着用でした。今回はCチームに2名、Eチームに3名の欠席者がいたため、2つのチームを合同としました。

 「人に仕事を与える・任せる」ことの意義を理解することと、そのことによって自分の仕事のやり方を「変える」ためのヒントを得るという主旨は昨年と同様です。今年は、チームでのワークを、①いかに「ゴリラの時間」を生み出すのか、②「ゴリラの時間」に何をすべきかについて議論することに焦点化しました。これは昨年のレクチャーの反省を踏まえて、「サル」や「ゴリラ」といったメタファーを中心に捉えて理解を促そうと考えたためです。ドラッカーが指摘する「自らが行うべき仕事に取り組むために、人にできることを任せることは、成果をあげるうえで重要である。」ことや、小倉の指摘する「できるようになってから任せるのではなく、できなくてもムリして任せる」ことがポイントです。

 レクチャーでは、「サル」の時間、「ゴリラ」の時間をわかりやすく説明しようと努力しました。ここで使う「サル」とは、「本来、部下のものである仕事の主導権」をさし、「ゴリラ」とは、「マネジャーが本当に取り組まなければならない仕事」としました。

 全体発表は白板に記載した内容を投影して、Dチーム、Hチーム、C+E混成チーム、Aチーム、Iチームが発表しました。トップバッターのDチームの発表は次のような内容でした。「ゴリラの時間」を生み出すには、①自分の仕事を整理する(可視化する)②上司として信頼してもらえるように仕事をする。③信頼関係を築いてスタッフに仕事を引き受けてもらう、④良い影響力を持つスタッフを見つけてサルを任せる、⑤サルを任せる時には、相手に意思決定を委ねること、そして、「ゴリラの時間」にすべきことは、①組織を発展させていくために仕組みづくりを考える、②任せたサルを定期的に助言や確認を行う、③サルが組織にとって本当に必要なのかを考える、でした。

 「サル」と「ゴリラ」というメタファーを駆使した今回のレクチャーは、メタファーの使用による概念を、日常の業務に適用して具体化する作業に十分な威力を発揮しなかったのではないかという反省をもたらしました。チームメンバーの職位のばらつきや組織背景のちがいも「サル」や「ゴリラ」の具象化を困難にしたのかもしれません。

 「人に仕事を与える・任せる」という権限委譲の醍醐味が現実の管理においてどのようなことなのか、「そうか、そういうことなのか」とわかり合えるように、もっと工夫をしなければならないという宿題を私に課しました。

コメントされますか?

コメントするには ログイン してください。