第2章「マネジメントに取り組む」当日の様子

第2章「マネジメントに取り組む」

はじめに、井部塾長より、看護のアジェンダ第138回「実践のプラットフォーム」(医学界新聞第3180号)の内容について話がありました。井部塾長は「看護実践は制度やルール、マニュアルなどで拘束され不自由だ」と思っていたそうですが、哲学者である村上さんによると「看護師は自由をつくる」つまり「医療の世界には,技術的,法的,倫理的といったさまざまな仕方で外から課せられる規範がある。しかし外からの規範とは別に,看護師たちは自らの行為がそれに則っているプラットフォームを自主的に創りだす」ということです。村上さんは、看護実践の土台となるものを「プラットフォーム」と呼び、「状況に応じてフレキシブルに変化する,ゆるやかな実践のロジック」と述べています。例えば、パートナーシップナーシングシステムを実践のプラットフォームと捉えると、決して固定化された不自由なものではあってはならない、という井部塾長の主張でした。

続いて、倉岡より、中原淳著「駆け出しマネジャーの成長論」について、詳しく説明しました。本の帯には「鍵はプレイヤーから生まれ変わること!」とあり、この言葉はマネジャーとしての仕事を考えるうえで大前提となります。「駆け出しマネジャーの成長論」によると、マネジャーの仕事とは「他者を通じて物事を成し遂げる」であり、「エキスパートとしての自分のあり方を一部捨て、自分以外の人に仕事を任せること」とあります。そのため、部下を動機付けたり、部下が喜んで仕事を引き受けようと思えるように導いたりすることが重要となるのです。看護管理者の方は、自分がやるほうが速いしうまくいく、と思われるかもしれませんが、本物のマネジャーになるには、ここを乗り越えることがとても重要です。

続いて倉岡が、経験の浅いマネジャーが直面する7つの課題を説明し「目標咀嚼」のところでは、鵜飼の写真を用いて何をイメージするか語り合いました。鵜匠を看護師長、鵜をスタッフナースとなぞらえる方、鵜匠を看護部長、鵜を看護師長になぞらえる方がいました。倉岡は看護部長の指示や考え方を、看護師長がそのままスタッフナースに伝えるのではまずい(目標咀嚼できていない)と考えた時、ふと鵜飼のイメージが浮かんだことを説明しました。鵜呑みも鵜吐きもよくないということです。

説明後、配布したワークシートを使って、参加者の皆さんに、それぞれの課題の重要度を5段階で記入していただきました。甲乙つけがたく、多くの項目に「5」を付けている方がたくさんいらっしゃいました。その後、隣に座るメンバーと評価結果の確認をし、受講者全員の投票によって、チームで検討する課題を2つ選びました。選ばれたのは、1位「目標咀嚼」(21票)、2位「部下育成」(12票)でした。

チームでのワークに移りました。①2つの課題について具体的経験にもとづき語り合う、②代表的な事例と経験から生み出した効果的な方法をポスターにまとめる、ことに取り組みました。ワークの時間は1時間と短かったですが、1つの課題の分析に20分の配分のように、効率的に進められていました。 

発表方法は、クロスグループインタビュー形式をとりました。他のチームの発表を聞くことで、効果的に乗り越えるための方法を共有することができたと思います。「部下育成」と「目標咀嚼」は強く関連していると気付いたチームがありました。他にも、「目標咀嚼」と「政治交渉」など、今回取り上げなかった課題との関連性が見えてきました。
最後に、井部塾長から、課題の1つである「意思決定」に関連して、管理者は自分が決定したことについて責任をとる、という内容の話がありました。
第2章での学びを言葉にしてみてください。
                              (担当:倉岡有美子)

*駆け出しマネジャーの成長論 7つの挑戦課題を「科学」する(中公新書ラクレ)中原淳 著

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訪問看護シンジョーステーション 代表 (武蔵新城:川崎市中原区) 地域に情報がいきわたる環境づくり(医療や介護に関する情報を生活に活かす)に取り組んでいます。
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2 のコメントが “第2章「マネジメントに取り組む」当日の様子”にあります

  1.  院内教育の場では対象に自律、主体性を求めるのに、管理者が鵜呑みしてたらだめだと思った。鵜には非はないけど、「鵜呑みマネージャ」は忘れられない言葉になった。
     7つの挑戦課題が実は関連しているとチームワークから導き出したことは、腑に落ちた感じがした。

  2. 第1回に続き第2回はより自分の身近な学びとなりました。
    毎日が忙しくいっぱいいっぱいな自分が何に困っているのかさえ分からずにいました。しかし7つの課題を知りプレマネバランスや部下育成に困っていると自分の課題を客観的にみて優先順位をつけることができました。すぐには解決できないと思いますが、諸先輩方の意見は大変参考になり、また何より自分の不甲斐なさばかりを感じていましたがこんなことは出来ていたと認めて頂き また頑張っていこうという気持ちになりました。
    また次回の研修も楽しみです。

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