第9章「やる氣にさせる職場」

第9章「やる氣にさせる職場」

開講に先がけて井部塾長による宇奈月温泉のお話しからスタートしました。井部塾長の本を読まれていたとある病院の看護師との偶然の出会い、そして、その看護師から「(井部塾長の本は)CNSのバイブルです」と言ってもらえたこと、それはやる氣になったということです。さらにその本の内容では、さまざまなケースに対する対応を記されていて、その幾つかピックアップして紹介されました。結局、管理者の器によって、専門看護師のモチベーションを高めてマネジメントしていくことができるというお話がありました。

その後、今回の担当である伊藤にバトンタッチし、ファシリテーションしました。職場のスタッフのモチベーションを高めるのも下げるのも管理者次第です。特に、今のように、簡単に組織を移ることができるようになると、働くスタッフのモチベーションをどれだけ高めて、その組織に長くいたいと思ってもらえるかが大切です。ボランティアスタッフですら、そのようにコミットを高めてモチベーションを引き出すと、大きなパフォーマンスを生み出すという例をご紹介しました。その後はフラフープを使った実習です。

今回、二部屋に分かれて行いました。伊藤が担当した部屋では、3人で行うときと、倍の人数になったときでは、明らかに人数が増えた方が悪戦苦闘されていました。これは、日常の仕事でも、頭数が増えるほど、力が分散したり、まとめることが大変になったりすることと共通しているようです。つなひきでも人数が増えるほど、手抜きをする人が出てきたり、タイミングを合わせるのが難しくなったりします。
さらに、リーダーだけが指示を出して他のメンバーはその指示に従うという課題では、比較的スムーズに移動できたのは、僅か一チームだけで、他は相当に苦労されている様子でした。リーダーの指示がいかに重要であるか、また指示を出すリーダーの大変さ、難しさを実感されていました。仕事の全体像がわかっているリーダーや情報を一番多く持っているリーダーが的確に指示を出さないとメンバーは混乱してしまいます。さらにフィードバックがタイミングよく、相手に理解できるようにされていなければ、いったいこれであっているのかどうなのかとメンバーは不安になってしまいます。このようなことがチームの氣づきとして出ていました。

フラフープ実習で体験していただいたように、チームで成果を上げるためには、①目的を明確に共有すること、②一人ひとりの役割を明確にし、誰に何を期待しているかを具体的にメッセージすること、③タスクが機能しやすいフレームをつくること(今回であれば並び順を変えるなど)、④メンバーの協力関係と⑤モチベーション が重要になることを情報提供しました。
昨年のオリンピックでチームとして金メダルを獲得した日本の体操男子は、のちのインタビューで見事なくらいこの5つを該当した話をされていました。4年間常に「団体で金」を言い続け目標を意識していた(目標)。ロンドン大会では一人だけが頑張りすぎていたが、今回はそれぞれが役割を見つけて動けるチームになっていた(役割)。氣になったことはしっかり口に出していうようにした(他者との連携)。試合のときは周りを氣にせず、いい意味で自分に集中して自己中心でやれた(タスク)。他者と連携した(連携)。団体で金をとりたいという強い思いが持続した(モチベーション)。指導者としては、常に平常心をこころがけた。姿・顔・言葉のすべてが相手に伝わると思った(モチベーション)。
その後、チームのさまざまな段階について紹介し、どういう段階に自分のチームがあるかを正確にとらえて対処していくことの重要性をお伝えしました。
一方、個人のモチベーションについては、近年のモチベ―ション理論として、内発的動機づけについて説明しました。先ほどのフラフープでも結果が出ていたチームは、内発的動機づけの上位項目が満たされていたようでした。

本日のワークでは、フラフープの実習をもとに、やる氣を引き出すチーム運営のために管理者に求められることを5項目程度にまとめていただき、それぞれについて自己採点を行いました。点数の高い人からナラティブに話を聞き出すという方法でシェアリングタイムを持ちました。
工夫している方の話をシェアしてもらったり、あらためて全体でも低い傾向にある項目もあったように思いました。それぞれの項目については、また半年くらいして自己採点するとどのように変わっているかなど、確認していただければと思いました。

モチベーションを上手に引き出す管理者は、一足飛びにそのようになったわけでなく、目標を都度話したり、声掛けを行ったり、ほめたり、質問したりして、間違いに氣づかせたり、承認を与えたりしながら、目指す方向に導いていくという日々の積み重ねの結果であると思います。
今回のワークで、そのあたりをつかんでいただければと思います。

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