第9章 やる氣にさせる職場

開講に先がけて山田塾長より診療報酬改定と看護に関する情報提供がありました。真の看護とは何か、仕事のモチベーションを上げるためには何が大切なのかを示唆するお話でした。

その後、今回の担当である伊藤にバトンタッチしました。今回のテーマでは、職場チームのやる氣を引き出すことと、個人のやる氣を引き出すことの両面から検討していきました。
仕事の専門性が細分化したり、患者さん毎にチームが流動的に変わる状況においては、チームメンバーのモチベーションを常に把握しておくことすら難しいかもしれません。そうした中で、人間心理として何が重要なのかを深く検証しておくことは、さまざまな場面で役立つものと推察されます。

情報提供のあと、フラフープを使ったチーム実習を行っていただきました。今回は、広いスペースで行うことができ、全チームが同じ部屋で一斉に体験していただけました。
三人で最初にフラフープを運ぶことと、人数を倍に増やして運ぶことの違いを体験していただきました。ほとんどのチームが、人数が増えると苦戦されていました。これは、日々の仕事においても、よく起こることです。人手が足りないからと人数を増やすと、かえってまとまりがとれなくなったり、意思疎通が難しくなったりします。
次に、一人のリーダーを決めて、実習を行っていただきました。リーダーの指示ひとつで、グループ全体のまとまりに大きな影響が出ます。早く目的を達成するチームと、なかなか達成できずに大苦戦されていたチームがありました。
この実習から幾つかのことを学んでいただきました。

チームで成果を上げるためには、

①目的を明確に共有すること

②一人ひとりの役割を明確にし誰に何を期待しているかを具体的にメッセージすること

③タスクが機能しやすいフレームをつくること(今回であれば並び順を変えるなど)

④メンバーの協力関係

⑤モチベーション

が重要になることを情報提供しました。それ以外にも、リーダーが自信をもって的確な指示を出すということが重要だったと思います。リーダーが変わればチームは変わる、といわれるくらい、リーダーの指示ひとつでメンバーの状況は変化します。

その後、フラフープ実習のチーム状況を反応シート形式で振り返っていただきました。チームのプロセスがこれでわかります。大抵、結果が出ているチームはプロセスも良くなることがあります。今回もそのとうりでした。ということは、プロセスを改善すれば、結果を出しやすくなるともいえます。
その後、チリのサンホセ鉱山での落盤事故の作業員33人が奇跡の生還をするにあたって、リーダーがとった行動について情報提供しました。まさに、先ほどのチームで成果を上げるために大切なこと5つを網羅していました。
チームの発達状況、あるいはチームのプロセスとタスクの関係、これらを正しく診断して、今の自分自身のチームにあった介入を行ってください。

次に、個人のモチベーションについての情報を提供しました。最近のモチベ―ションの焦点は、内発的動機づけへとシフトしています。ご自身の職場でも、この内発的動機づけの上位項目がどの程度満たされているかを点検し、どうすればさらにそれらが満たされるかを検討していただきたいと思います。
本日のワークでは、フラフープの実習をもとに、やる氣を引き出すチーム運営のために我々管理者に求められることを5項目にまとめていただきました。それぞれについて自己採点を行いました。点数の高い人からナラティブに話を聞き出すという方法でシェアリングタイムを持ちました。
工夫している方から話を聞くことで、体験を共有財産としていただきました。あぁ、これはうまいやり方だなぁと工夫されている方もたくさんいらっしゃいました。こうした学びをぜひご自身の職場でも取り入れ、応用してみてください。
モチベーションを上手に引き出すために、何をすればいいか、それが具体的になったと思います。

目標を都度話したり、意味合いの理解を深めたり、必要な人に役割を与えたり、期待を伝えたり、日々の声掛け(ほめる・叱る・質問)をして、コミュニケーションによって軌道修正しながら、目指す方向に導いていく。また、メンバー同士のかかわりを強化していくという小さな積み重ねが結果としてモチベーションにつながっていきます。もちろん、その背景には信頼が必要であるということはいうまでもありませんが。こうした積み重ねを行って、素晴らしいチームを率いていっていただきたいと思いました。

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