研修スタートに際して、山田塾長よりお話がありました。最近、起きた介護現場での殺傷事件をとりあげられました。一般病棟では患者安全のための基準はあるものの、職員の安全については十分ではないことや、現行の対応で果たしていいのかどうか、こうしたことを幅広く検討していくことも管理職者としては重要であることなどが示唆されました。
本当にその通りで、着眼大局着手小局と言われるように、大きな視点から全体で何が起きているのかを常に把握し、必要なことがあればつぶさに対応していく。こうした柔軟性が管理職者には求められると思います。それが、共に働く人たちからの信頼にも繋がっていきます。
今回のテーマは、「やる氣にさせる職場づくり」でした。単に、自分の与えられた職場だけを見ていても氣づかない問題があります。そうした場合には、病棟全体、病院全体で何が起きているのか、今後、自分たちの身にふりかかったときにどうしていくのか、といったことを思案に入れておくということは大切なことです。
そして、自分の職場運営に限ってみても、リーダーシップを発揮する立場の人が、どれほど情報を掌握して、全体に共有できているか、さらには各人一人ひとりに何を期待するかを具体的に伝えていくという地道な作業が必要になってきます。
こうしたことを、今回はオンラインでの実習を通じて体験していただけたかと思います。
オンラインでひとつの形を作るという課題に対して、情報を持っているのはリーダーのみという状況が、システムの都合により自然と作り出されました。まさに、日常のタスクにおいても、管理職者だけが知っている情報や、そこに意識が及んでいるのはごく限られた人のみということがあると思います。同じ目線で見ていなければ、問題が起きていることも分からなければ、問題と認識することもありません。
こうしたことを理解したうえで、しっかりとコミュニケーションを図っていくことは本当に重要です。
いったん、認識が共有されれば、そこに向けて、どのように対応していくかも明らかにしやすくなります。しばしば、その時に、氣をつけなければいけないことは、感情のフィルターが入って邪魔をすることです。「あの人が言っているのなら従いたくない」「あの人はどうせ協力的じゃないから伝えなくてもいい」
こうしたことが起きてくると、問題が二重で起きてきてしまい、余計な時間と労力が失われることになります。
ということから、グーグルで大切にされている『生産性の高いチームの特性』をご紹介させていただきました。
グーグルでは、さまざまなタスクに応じて幾つものチームがありますが、うまく成果を上げるチームに共通していたのは、次の5つの特性でした。
- チームの「心理的安全性」が高い。つまり、何を言っても受け入れられる。本音が交わしやすい。ただし、問題があれば、それを深刻にならずに伝えてもらうことができ、お互いに間違いを認めて前進することができる。
- チームに対する「信頼性」が高い。このチームのメンバーで成果を上げていくことができるという実感が持てるということです。これには、やはりリーダーのリーダーシップ、特に意思決定の判断がスムーズに行われるということが欠かせません。
- チームの構造が明瞭である。チームの構造は、グーグルさんにおいても、医療現場と同様に固定化されたものではなく、常にフレキシブルに変化すると思われます。とはいえ、そのたびに、どういう意思決定系統だとうまく回るのか、または誰がどんな役割を果たすとうまくいくのか、といったことが検討され、変化しているということでしょう。
- チームの仕事に「意味」を見出せる。これは個々人が高いモチベーションを持って仕事をする上で欠かせない要素です。仕事に意味を見出せるようにするためには、リーダーが意味を話し続ける他はありません。その点では、管理職者は、ストーリーテラーとして、物語にみんなを引き込む力が大切ですね。また、個々人の目的を目標管理制度の一環として周知するのではなく、よりパーソナルな目的意識に目覚めるようにかかわっていくということが大切です。
- チームの仕事が社会に「よい影響」をもたらしている。これが分かってくれば、4の仕事に意味を見出すことも簡単になっていきます。
最後に、本日のワークを行いました。
短時間ではありましたが、とてもいい話し合いが行われ、凝縮した内容を発表していただきました。
この学びを
今後の実践に役立てていただけると幸いです。
皆さまにお会いできたことを感謝します。
コロナ対応はまだまだ続きますが、どうぞお身体に氣をつけて患者様から喜ばれ、働くスタッフが喜びで満たされる素晴らしい職場づくりをなさってください。
ありがとうございます。
伊藤弘子

ito

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